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歯が小さいのはなぜ?治せる?矮小歯の特徴や原因・治療法も分かりやすく解説

歯が小さいのはなぜ?治せる?矮小歯の特徴や原因・治療法も分かりやすく解説

「歯が小さい気がする」「前歯が小さくて笑うと気になる」そう感じて悩む方は多いのではないでしょうか。

歯の大きさには遺伝や成長過程・発育環境などによる個人差があり、全体的に小さい場合や一部の歯だけが小さい場合があります。特に前歯の横の歯(側切歯)が小さいと目立ちやすく、口元のバランスや印象に影響します。かわいらしい印象になる一方で、隙間やかみ合わせの乱れにつながり、機能面や健康面のリスクも生じます。

本記事では、歯が小さい「矮小歯」の特徴や原因、リスク、改善方法までを解説します。

歯が小さい「矮小歯」の見た目や特徴

「矮小歯」とは、歯のサイズが平均より小さい状態のことです。

矮小歯とされるのは、全体的に小さいケースだけでなく、一部の歯だけが小さいケースもあります。また、歯の小ささは見た目や口元の印象に大きく影響します。

ここでは、歯が小さい矮小歯の種類やその特徴について解説します。

全体的に歯が小さいケース

矮小歯には、すべての歯が標準的なサイズよりも小さいというケースもあります。

全体的に歯が小さい場合、バランスが取れているように見えるのが特徴です。しかし、極端に小さいケースではかみ合わせや歯並びに影響することがあるため、注意しなければなりません。

また、小さな歯が並んでいることから、口元が幼い印象になりやすいです。

一部の歯だけが小さいケース(上の前歯・側切歯など)

一部の歯だけが小さいというケースもあります。

例えば、上の前歯の横にある「側切歯」が小さいと、前歯との大きさの差が目立ちやすくなります。また、一部だけが小さいと隙間ができやすく、左右差が強調されたりするため、見た目に違和感を覚えることも少なくありません。

この場合、矯正や補綴治療でバランスを整えることが検討されます。

歯が小さい人の顔立ち・印象との関係

歯が小さいと、口元全体が控えめに見えるため、顔立ちが柔らかく幼い印象を与えることがあります。

例えば、前歯が小さい場合は、笑ったときに歯の存在感が弱まり、かれんであどけない雰囲気に見えることもあります。

一方で、歯とあごの大きさのバランスが取れていないと、口元に違和感が出たり、隙間が目立ったりしてしまう場合もあります。そのため、歯の大きさは顔全体の調和に大きな影響を与えるといえるでしょう。

かわいいといわれることもある

小さい歯は「ベビーフェイス」に見える要素の一つとされ、かわいらしい印象につながる場合があります。

特に女性の場合は「歯が小さい=幼さや優しさを感じる」と捉えられやすいです。チャームポイントとして評価され、「かわいい」といわれることもあります。

一方で、矮小歯は隙間やかみ合わせの乱れを伴いやすいものです。見た目がコンプレックスになったり清潔感に影響したりすることもあるため、改善を検討しましょう。

歯が小さい「矮小歯」になる原因は?

歯が小さく見える「矮小歯」になる原因は、完全には解明されていません。しかし、先天的な体質や成長の影響、さらには後天的な要因が関係していると考えられています。ここでは矮小歯になるとされる原因を解説します。

遺伝的な影響

矮小歯は遺伝的な体質によって起こることがあります。

例えば、家族の中に「歯が小さい」と感じる人が多い場合、同じように歯が小さく生えてくる傾向が見られます。特に上の前歯の横にある「側切歯」が矮小歯として現れやすく、見た目に影響しやすいです。

乳歯から永久歯への生え変わりの影響

乳歯から永久歯に生え変わる際、歯の大きさや形にばらつきが出ることがあります。

例えば、乳歯に比べて永久歯が小さく育つケースや、スペースが十分に確保されずに小さく見える場合もあります。この段階で矮小歯が目立つと、歯並びやかみ合わせのバランスにも影響する可能性があるため注意が必要です。

発育やホルモンバランスによる影響

歯の発育は、体の成長やホルモンバランスとも深く関係しているとされています。

例えば成長期に、カルシウム・ビタミンD・リンなどの栄養や内分泌(甲状腺ホルモン、成長ホルモンなど)の異常があれば、歯胚(歯の原基)の発育に影響する可能性があります。ただし、これらが矮小歯の主因であるという確固たる証拠は限定的です。

摩耗など後天的な要因

矮小歯は先天的なものだけでなく、後天的な要因で小さく見える場合もあります。

例えば、加齢や歯ぎしり・食いしばりのクセがあると、摩耗により歯の表面がすり減り、歯が短く小さく見えることがあるのです。さらに、過去の虫歯治療や外傷で歯の一部が失われた場合も、全体的に歯が小さい印象を与える原因となります。

歯が小さい「矮小歯」のリスク・問題とは?

矮小歯は見た目の印象だけでなく、口腔内の機能や健康にも影響を及ぼすことがあります。ここでは、歯が小さい矮小歯によって具体的にどのようなリスク・問題が起きるのかを解説します。

歯と歯の間に隙間ができやすい

歯が小さいとあごの大きさや歯列全体に対してサイズが合わず、歯と歯の間に隙間(空隙歯列)が生じやすくなります。

特に前歯部分に隙間があると、笑ったときに口元がアンバランスに見えたり、幼い印象を与えたりすることがあります。見た目の特徴として目立ちやすく、歯並び全体のバランスにも影響するのが問題点です。

かみ合わせが悪くなりやすい

矮小歯があると上下の歯のバランスが崩れやすく、かみ合わせが悪くなることがあります。

例えば歯が小さいことで、接触点が不十分になったり、咀嚼時の力配分が不均衡になったりする可能性があります。その結果、咬合バランスが乱れやすくなることもあります。

虫歯や歯周病のリスクが高まる

矮小歯は、虫歯・歯周病リスクにも注意しなければなりません。

歯が小さいと歯と歯の間に隙間ができやすく、食べかすやプラークがたまりやすくなります。歯ブラシの毛先が届きにくいため磨き残しが増え、結果として虫歯や歯周病のリスクが高まる傾向があるのです。

見た目のコンプレックスにつながる

矮小歯は歯の大きさや形のアンバランスが目立ちやすく、笑ったときに違和感を与えることがあります。

例えば、歯の隙間や小ささが強調されると「子どもっぽい」「歯が抜けているように見える」と感じられる場合もあります。そのため、矮小歯をきっかけに人前で笑うことを避けてしまう方も少なくありません。

歯が小さい「矮小歯」の改善方法

矮小歯は放置すると見た目やかみ合わせに影響することがありますが、歯列矯正をはじめとした歯科治療によって改善することが可能です。ここでは代表的な改善方法を紹介します。

歯列矯正でバランスを整える

歯が小さいことによって生じた隙間やかみ合わせの乱れは、矯正歯科治療で整えられます。

ワイヤー矯正やマウスピース矯正を行うことで、歯列全体の位置関係を調整し、見た目と機能の両面を改善可能です。前歯の矮小歯に伴う軽度の隙間であれば、部分矯正でも対応できるケースがあります。

ただし、歯のサイズそのものを変えるわけではないため、補綴修復(後段で述べるラミネートベニア等)を併用して見た目を整える治療を視野に入れることも一般的です。

ラミネートベニアやセラミックで歯を大きく見せる

前歯の矮小歯に対しては、歯の表面に薄いセラミックを貼る「ラミネートベニア」や、人工のかぶせ物を装着するセラミック治療が選ばれることがあります。こうした治療を行えば、歯の形や大きさを整え、自然で美しい口元を演出できます。

ラミネートベニアやセラミック治療は、短期間で効果が得られる点が大きなメリットです。一方で、歯を削らなければならないデメリットもあります。治療前にメリットとデメリットを十分に理解することが大切です。

補綴治療(クラウンなど)で機能面を改善

奥歯を含む矮小歯やかみ合わせに影響している場合には、クラウン(かぶせ物)などの補綴治療も検討されます。

クラウンを使うことで歯の高さや大きさを補い、かむ力を正しく分散させることができます。見た目の改善に加えて、咀嚼機能を回復させられるのが大きな特徴です。

自力で大きくすることはできるのか?(注意点も)

歯の大きさは基本的に遺伝や発育によるため、自然に大きくすることはできません。

例えば、矮小歯に伴うすきっ歯を自力で改善するために、

指で無理に押したり、市販の矯正器具を使用したりすることは非常に危険です。無理な力がかかると歯根・歯周組織に負担をかけ、歯列不正を悪化させたり歯肉退縮を引き起こしたりする可能性があります。また、市販でつけ歯もありますが、あくまでも一時しのぎにすぎません。自己判断での処置は控え、歯科医師に相談することを強くおすすめします。

まとめ

今回は、歯が小さい「矮小歯」の特徴や原因、リスク、そして改善方法について解説しました。

矮小歯は遺伝や発育の影響で起こることが多く、歯と歯の間に隙間ができる、かみ合わせや見た目に影響を与える、といった問題があります。放置すると、虫歯や歯周病のリスクが高まり、見た目のコンプレックスにつながる場合も少なくありません。

治療法には、歯列矯正でバランスを整える、ラミネートベニアやセラミックで歯を大きく見せる、補綴治療で機能面を改善するなど、さまざまな選択肢があります。自分に合った治療法を選ぶためにも、信頼できる歯科医院で相談することが大切です。

この記事の監修者

西山湖菜

小児歯科・矯正歯科勤務の歯科衛生士。 臨床の傍ら、オンライン矯正サービス企業、歯科コンサルティング企業でのフリーランス経験を持つ。 歯科記事ライターとして専門性の高い情報を発信するほか、歯科医院のSNSディレクション・デザインも担当。幅広いキャリアを持つ専門家として本記事を監修。